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2003年度 明治大学商学部 商学科 2003年8月5日18時訪問 |
★ 問題意識 青木精工は特殊な微細板金加工製品(極薄溶接、曲げ加工、ワイヤ加工)を扱い、その技術力をもってオーダーメイド(試作品加工)を続けていたが 不況の影響を受け、売上が8割減少したことによりインターネット利用による受注を始めた。これによりダイレクトに新規顧客の開拓が可能となり 業績を回復することができた。現在は株式会社小野測器・株式会社シャ−プ・浜松ホトニクスなど大企業とも取引を行っている。 技術を持ちながら倒産に追い込まれる中小企業が後を絶たない中、営業により、高い技術を保持しながら収益を上げている企業が青木精工である。 青木精工の「経営力」「市場力」「販売力」の観点から、強さの秘密に迫る。 ★ 経営力・市場力・販売力 @経営力 青木精工は取引の際、常に50:50の関係を構築している。 一つ目が価格交渉においてである。青木精工は従業員も少なく試作が専門であるため、大量生産によるコストダウンは元々困難であるとしても 顧客獲得のための値引きや、取引先によるコストダウンの圧力には一切応じない。「日本中どこを探しても自社のような製品はないであろう」という 絶対的な自信があるからこそ、技術を安売りすることなく、どんな取引相手とでも常に対等(50:50)に取引を行うのである。 二つ目は代金回収の手段である。「販売力」による分析の部分でも述べるように、青木精工は取引の際インターネットを利用している。 インターネットを使った取引には、いつどんな場所からでも受注が可能であるという利点がある反面、大きな欠点として、相手の顔が見えないため 代金の回収の安全性が十分でない、ということが挙げられる。そこで青木社長は、製品の代金を半分先払いで要求することによって、この問題に対処している。 取引相手に代金の半分を先に納めさせるため、途中で契約を破棄されることがなくなり、青木精工は代金の回収が確実になるのである。 また、代金の先払いは取引先にも保証を与えるものである。先払いにより青木精工側には製品の品質と納期までの納入の責任が課されるからである。 この方法により、これまで代金回収は100%だという。このように代金回収の際も取引先と青木精工の間には、50:50の関係が構築されているのである。 このように、取引の際、50:50の関係を構築するというのが青木精工の経営面での工夫であり、即ち「経営力」である。 A市場力 青木精工には職人による高度な技術があり、青木社長が専門としている分野には他社は容易には参入できない。 青木精工はそのような分野に自社を位置づけることにより、個人経営にして高い業績をあげることを可能にしているのである。 青木精工の製品は、前記のとおり特殊な微細板金加工製品(極薄溶接、曲げ加工、ワイヤ加工)であり、詳細に顧客のニーズに対応する製品を手がけている。 したがって、技術力の面で顧客は他社製品との違いを十分に評価でき、かつ、他社が容易に模倣できないので長期的な競争優位の維持が可能なのである。 B販売力 青木精工の一番の成功要因は、インターネットの利用による営業である。 不況の影響を受け、売上が減少した時期から巻き返しを図ることができた直接的な成功要因である。 チャネルの特化(インターネットによる営業)により、技術を保持しながら、新規顧客の開拓を可能にしたことが、何よりも大きい成功要因なのである。 実際に青木社長は午後8時に現場を終えた後、深夜までインターネットを利用して営業を行う。これまで、272社との取引がインターネットを通して成立している。 開設されたHPを見ると、自社の「売り」である高度な技術を前面に押し出した内容であり、製品の写真も多数掲載されている。 HPからだけでも「青木精工」という会社の特徴についておおむね知ることができ、自社製品を必要としている人が検索したときになるべく多く ヒットするように工夫されている。 また青木社長は「技術者は今や無口では生きていけない。これからは歌って踊れる職人になるべきである。」と言う。 技術だけでなく「歌って踊れる」という営業努力も必要なのである。青木社長はインターネット以外にも経験から培われた高度な技術力をもって自ら製品を提案し 売り込む活動を行っている。 さらに雑誌などの取材にも積極的に応じている。取引先を自ら開拓する努力を怠らないのである。 インターネットを中心とした自社製品を売り込む努力が青木精工の「販売力」である。 |